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保険金属が体に及ぼす影響

硬い金属が体に及ぼす悪影響硬い金属は歯周病の進行を進める可能性があります

1 硬い金属は歯周病の進行を進める可能性があります

パラジウム合金(一般的に使われる保険の銀歯)が天然の歯より硬すぎるので、かみ合わせの歯を含め、銀歯を入れた歯の周りの歯肉や骨に対して、かんだ時に強い衝撃があります(頭を金づちでたたかれている感じですね)。

体調がよくて元気な時なら大事には至らないのですが、体調不良、老化、喫煙習慣などで、疲れた状態の時には、いつも咬んだ衝撃が蓄積されていて、血の巡りが悪くなって酸素が不足し酸素が大嫌いな歯周病菌が増えて歯周病が進みます。また、金合金は(※保険銀歯も少し金が含まる合金です)バイオフィルム親和性(汚れと仲が良く、汚れがつきやすい)があるので、金属の縁が歯肉に接しているか少し中に入っているときには汚れやすく歯肉に炎症が起こりやすいです。

最近は力がかかりすぎることより、汚れやすくなることのほうが大きな問題となっています。

その結果、じわじわと炎症が増えて、歯周病菌によって骨が溶かされ、歯の周りを支えている骨が少なくなります。せっかくきれいに磨けていても、バイキンが集まりやすいので歯周病と同じように歯の根っこが出て、知覚過敏になったり、歯がぐらぐらと動き始め、加速度的に歯周病状態が進行するのです。

2 硬い金属は二次虫歯を起こす可能性があります

銀歯を外す前と外した後
左の写真は銀歯を外す前、右の写真は銀歯を外したあとの写真です。銀歯の下はこのようになっていることが非常に多いです。詰め物の隙間から虫歯になっています。

パラジウムが硬いので、小さな詰め物で修復した場合。噛み合わせ面にある、金属と歯の境目の接着セメント層(厚み30~60ミクロン)はセット後の数カ月は耐えますが、やがて、すぐに食べ物が入って、接着させるセメントは溶け始めます。硬い金属は二次虫歯を起こす可能性があります

10年くらいすると溶けたセメントのすき間は歯の中まで進み、中でバイキンの繁殖が進行し、二次虫歯状態になります。

また数年間、接着していない状態で、かむ力にさらされた金属の周囲の歯は一番外側にヒビが入り、いつ歯が欠けたり、割れたりしてもおかしくない状態なのです。

中が二次虫歯でも、食べ物が入らなければ、症状もなく、歯の神経のほうが一生懸命、保護壁を神経周囲に作ってくれます。ところがやがて、脳梗塞と同じ詰まった状態で、神経組織が死んだ時に激しい痛みが発生するのです。

その時はもう手遅れで、歯の神経が死んで、根の中が腐った歯は根の治療を数カ月もかけてすることになります。また、レントゲンでは銀歯の中まで写らないので、歯科医院でレントゲンを撮っても虫歯があることがわからず、虫歯がかなり進行して大きくならないとわからないということもあります。このようになってしまうと悲しいですよね。

5年以上経過した銀歯を外すと9割ぐらいは中が虫歯になっています。しみる、かむと痛いという症状が出る前に外してセラミックにやり直しておけば神経も保存できますし、歯の寿命を延ばすことができます。すでに神経をとってかぶせてある歯なら次回痛みが出たときは根っこが割れて抜かなくてはいけなくなっていることが多いです。抜いてしまうと次の処置がブリッジ、インプラント、義歯と処置の日数もかかり、金額も多くかかります。

銀歯で使用するセメント(接着剤)は『ボンド』レベル

銀歯で使用しているセメント(接着剤)は、一般的なものでたとえるならば、接着力の弱い『木工用ボンド』レベル。セラミックなどに使う材料では『アロンアルファー』以上の強さで接着させるため、かなり接着力に差があります。

詰め物に隙間があいていると、銀歯に使う弱いセメントは繰り返しのかみ合わせの力で壊され、唾液によって溶かされてしまいます。ところが、セラミックなどに使う強力なセメントであれば力や水分に強いので過酷な環境でも長期に維持できるのです。

銀歯で使用するセメント(接着剤)は『ボンド』レベルしかし、銀歯でも何年も外れないものがあると思います。それは外れにくい形に削っているからで、裏を返せば、虫歯でもない健康な歯も大きく余計に削って維持させているのです。当然のことですが、歯は削ってしまったら二度と再生しません。

セメントの接着力が弱いと歯が欠け、詰め物が外れるなど、再治療の原因になります。詰め物が歯としっかりと接着し一体化することで、歯の構造は強化・維持されるのです。

銀歯以外の物は保険もきかないし、高価だから…と思われる方もお見えになるともいます。

お口の中は半分身体の中と同じで、まず第一に、腐食せず、体になじみやすい物を使用する必要があります。そして第二に、硬いものや柔らかいもの、冷たいものや熱いものを咬む非常に過酷な環境でも耐えうる、丈夫な(しかし硬すぎない)材料でなければなりません。

むし歯に気付いて治療を受けたり、銀歯が外れたタイミングでセラミックを選択される方もいますし、今まで銀歯を入れていて御不自由はされていなくても、「痛くなってから取れてから歯科医院へ行って手遅れになるより、今のうちに外してやりかえておきたい」という患者さんもいらっしゃいます。
銀歯を外した後

患者さんの残っている歯を守るのが、歯科医の仕事です。ご自身の歯や体の健康を第一に考えていただければうれしく思います。

●銀歯…金属アレルギーを起こす可能性がある、保険の歯科金属です。エナメル質よりもはるかに硬すぎるため、歯への負担が大きくなります。

●CR充填…白いプラスチックの合成樹脂を、型を取らずにその場で詰めてしまう方法です。熱膨張係数(熱によって伸びたり縮んだり)が大きいです。また、銀歯とは反対に柔らかすぎる素材のため、充填したCR(コンポジットレジン)自体が削れてしまいやすいです。

詰めては削るを繰り返し、神経を取って、だんだん処置が大きくなり、最後は抜歯になり、歯を失ってしまう前に、後悔のない選択をして長期的に見たお体のことを考えて選択していただけるといいと思います。

参考文献:GPのための金属アレルギー臨床   アポロニア21 平成23年8月号